自治労の上部団体で日本最大の労働組合、連合。
その大阪の支部で言論活動を不当に干渉されたとして裁判に訴えた元職員がいます。
要宏輝さん。連合の前進の総評から４０年間労働運動一筋で歩んできました。
「雨が降ってデモ中止したら労働者から怒られました。大衆運動の息吹というのかな。
運動会のような躍動的な運動ができた。」（要宏輝さん）
４年前、大手企業で次々と偽装請負が発覚。
非正規労働者が雇用の調整弁として扱われる実態が明らかになりました。
要さんは「安い労働力を利用するだけで雇用責任を取らない」と、
企業の姿勢を批判する論文を書きました。
これを見た連合傘下の電機連合が猛反発、
パナソニック出身の議長が連合大阪に抗議しました。
「例えば偽装請負とか社会的な不公正に対して連合はちゃんと声をあげないといけない。
私は論文なり出版なりを通じて声を上げた。これが大企業労組の逆鱗に触れた」
（要宏輝さん）
連合大阪は電機連合の議長あてに謝罪文まで出し、
今後、連合の肩書きで書かれた文書は事前にチェックすること、
連合の組合がある企業の名前は原則匿名にすることを決めました。
要さんが日本労働ペンクラブ賞を受賞した本の出版に際しても、
書き換えるよう求めました。
「この本のゲラを持って来いと言われまして、
トヨタ、日産、ホンダなどの名前が出てるのを例えば日産は『Ｎ』にしろと。
連合の関係する企業が実名で出てるから困るということなんですよ。
このとおり訂正しないと労働者委員をやめさせるとか
戦前の検閲制度みたいなもんですよね」（要宏輝さん）
連合大阪は「検閲ではなく、あくまでも組織運営上の配慮だ」と主張します。
しかし労働組合に詳しい専門家はその方針に疑問を投げかけます。
「会社批判を組合役員が抑えるということが企業別組合ではよく見られるケースなんです。
組合としてはやってはいけない、組合運動の発展を考える上で障害となる。
いろんな意見を自由に戦わすことによって組合は前向きに前進していく」
（滋賀大学・大和田敢太教授）
番組Webサイトより引用。
http://www.ktv.co.jp/anchor/today/2010_10_21.html#02